オーナーシェフとお客様の関係について考えてみたい
すべての物事にライフサイクルがあり食べ物に賞味期限があり、私たちの人生にも季節があるように(青春・朱夏・白秋・玄冬)オーナーシェフのお店にもそういった波が来るようです。
昔のある時に一人の青年が料理の修行を終え自らの意思でお店を持とうと思い、独立開業をいたします。寝る間を惜しんで必死に営業を続けるうちにお店のコンセプトに賛同してくれるお客様がファンになってくれお得意様となって行きます。
お店の営業年数を経ていくにつれお客の年齢も年を重ねていくわけです。
お店の存在そのものの賞味期限というのは、その時代のマーケットの特徴によって大きく左右されていきますがその時代の雰囲気、ニーズの所在、顧客心理などに対する感性がもしオーナーシェフにあれば十分対応でき、店の存在理由を維持できるのであります。
ところがある一定の「成功体験」を得るとその事に固執し、環境の変化に対応することが難しくなっていくのです。(※そんな事例はあちこちでみかけましたね)
ある時からお客の変化、時代の変化環境の変化が店の営業に対して大きな影響を及ぼしていることに気づかないまま、年を取っていき一代でお店そのものの「終焉」を迎えるという事になります。2代目3代目といった後継者問題とも相まって行くのですが、それが出来新しい感性 コンセプトが新規客を吸収するという手立てもないわけではないのですが・・・生業としての意味合いが大きければ大きいほどそのバトンタッチはうまくいかないでしょう。
いずれにせよ企業活動というより家業活動いや生業活動としての在り方も否定するものではなくそれは一種の「人生哲学」ともいうべき範疇に収斂されていくのです。
オーナーシェフにとっての顧客層は自らの年齢の上下10年程度だといわれています。つまり30歳で独立したころのお客は20歳〜40歳ぐらいの年齢層から始まり20年営業したころはそれぞれ40歳から60歳になっているわけです。もっとも業態戦略によって異なるのですが、ここでは個人店に関しての考察ですので企業経営としての立ち位置からは離れています。
現代のように情報過多の時代になりますともっと年齢の幅は狭くなるでしょう上下5年程度になっているのではないかと私は思っています。いわゆる市場規模の縮小現象という事になります。
こうした中での経営戦略上のポイントとしてますます個性化というものの重要性が問われてくるものと思うのです。
普遍的に存在するものと変化させなければならないことがあることを知っておかなければならない。というのがデザイナー本日の所感でした。
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