2025年01月15日

デザイナー外食産業で働いていた

本年は私の仕事のルーツといっていい「外食業の現場」というテーマで当時の日々の出来事、思っていたことや実行していたことを示していこうと思っています。前回はチェーンストアに関しての勉強と現実のはざまの葛藤という事でお話をさせていただきました。

 今日はその続編・・・営業現場での事

この当時の営業時間は朝8時から翌2時(深夜の) 8時から11時まではモーニングタイムでしたが、その時のメニューが今でいう「プリフィックス」という形でこのようなものでした・・・・1.冷たいお飲み物を選んでいただきます選択@オレンジジュースAグレープフルーツジュースBトマトジュースのいずれか

2.卵料理の選択@ボイルドエッグAサニーサイド(目玉焼きの事なんだけど)

Bスクランブルエッグの三つから選択、これがまたややこしくてそれぞれ詳しく言うとサニーサイド固め、柔らか、両面焼きの有無などスクランブルはレア・ミディアム、ウェルダン・・・などの選択含む 3.メイン @トースト

AフレンチトーストBパンケーキからの選択 4.サラダ @フレンチドレッシング Aサウザンアイランドドレッシング から二者択一 5.温かい飲み物@コーヒーA紅茶Bミルクからの選択・・・これを一緒のテーブルのお客様がバラバラに注文するというシステムで・・もう混乱するのは目に見えていますがこれがアメリカ直輸入のやり方という事で、現場のスタッフのオペレーションはがたがた、提供時間30分以上1時間かかったこともありクレームのオンパレード、しかもランチタイム突入時間と相まってなにがなんやらわからないまま肉体的にも精神的にも疲れ切り、ピークのランチタイムを迎えるというのが実態でした。

 要するに現代のホテルモーニングビュッヘをテーブルオーダーでやろうとしいたわけですから、想像するだけでも混乱ぶりが思い出されます。

しかも大混乱、クレームの渦、へとへとになりながら100人のお客で5万円の売上、そう売価500円という事です。この事態の打開策として、若き新卒幹部候補生は何をしたか・・・もとはといえばモーニングメニューのつまづきから一日が始まり終日混乱したままなのだから朝を簡単に変えればいいだろうという事で、メニューそのものを以下のように変えたのです。

 問題解決は卵の選択と主食であるパンの部分だからそこを変更、印刷された立派なメニューを引っ込め自分たちの手描きのメニューを作って対応しようということで、卵はゆでたまごのみ・・・これなら作り置きが出来るし余ったとしてもランチのサラダに回せる。パンはトーストのみ。ドリンクは比較的簡単だし調理の必要はなし・・・という事で開店して一週間にてこのように変更したのであった。結果は上々、さしたるクレームもなくゆとりをもってランチタイムに突入できるためクィックサービスが可能となり、売上も適切な動きになって行ったモーニングで5万円・・・当初の5万よりは楽に稼げた、ランチが

200名×800円で16万・・という具合に推移していくのですが、、ここで大きな問題に突き当たったのです。それは・・・フランチャイズ契約している米国の○○社の本部から「契約違反」というクレームがきたわけです。契約という事の重みは我が国とは違い、彼の国では最重要課題としてとらえられておりこのままだと違約金数千万課せられる恐れがあるという通達でした。

たかがモーニングメニューだけでこれかと思っていたのですが、このモーニングメニューこそがアメリカ本国において発展してきた礎でありこのことで君たちは(わが社の)契約したのではないかと詰め寄られたというわけです。

 勝手な真似をするなっていうこと・・・モーニングメニューをもとに戻さなければなりませんが、僕たちとしたらその混乱ぶりを説明しましたがうまく言葉も微妙なニュアンスが伝わらず、また英語も未熟なためか納得いただけません。

その時米国からきていた(契約違反だと詰め寄ってきたリーダーexecutive)

マネージャーが言った。「オ〜ライ、ではここに私と一緒に来ているスーパーバイザー2名を置いていくから、オペレーションを学べ」と期間は2週間だという事で、翌日から英語によるオペレーションの理論と実践訓練に入って行ったのです。

 日本での展開一号店のために僕たちのグループは交代で米国の店舗で研修してきたはずなのに結果何も学んでなかったという事になるわけです。そもそも外食などというものは小売業のようなものと高をくくっていたのかもしれません。いずれにせよゆらねばならない、なにしろ一年で20店舗倍々で3年後100店が契約内容に書かれているという事なんだものね。

 もう一度基礎からやりなおしという事になりました。

コンティニュー・・・次回そのトレーニング内容についての話です
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2025年01月14日

外食産業の体験

私が就職した関西に本社があるとある流通企業からの配転によって、外食産業といわれるお店の店長として赴任した場所が、神奈川県の厚木というところ

国道246号線ロードサイドにある100席程度の所謂「ファミリーレストラン」でした。

 市場が拡大傾向にある時代で同業各社出店競争が激化している真っ最中の頃

レストランでの食事が贅沢感あったころにリーズナブルでしゃれた店、マニュアル化されたサービスと均質の料理に多くのお客が週末におとずれ家族での華やかな食体験を満喫していました。

 郊外の住宅に住む家族が週末にそろって外食を楽しむ・・というのが一つのレジャーとして定着しかかった時代ともいえるのです。ですから、出店しさえすれば繁盛する。といった公式に各社場所取り合戦の様相を呈していたのです。客単価がおおよそ600円〜800円程度、客数が月間25,000〜位として月商が1500万〜2000万、100席程度の店としては当時かなりの繁盛店です。

日祭日ともなると1,000人以上の来客があったという経営としては上出来な販売力で且つ売上対比の利益率は20%強という、益率からいえばスーパーの10倍以上、食品スーパー業態によっては益率1%ぐらいでしたから20倍ということになります。・・・こんなうまい商売を見過ごすわけにはいかん・・とばかり流通小売業の経営者はこぞって外食産業へと参入していったのです。

一時期は全国に100社程度の外食会社が存在していました。今思い出してる店の多くはすでにありませんが・・・とにもかくにも産業化ステップの第一世代の話です。

 従来の水商売感覚の経営から脱却しなければならないとばかり、各社大卒の社員を大量に入社させ近代感覚の経営手法を導入し積極的に勉強していったわけです。その際に学んだものは米国の軍隊組織から発した組織論というものであり、のち我が国においては「チェーンストア理論」という一種の学問として我々当時の社員たちは徹底的に学んでいったのです。

 しかし現実は急激な出店に人材が追い付かずなかなか理論の実践化というところまでは未達。とはいえ前に進まなければということなのでかなりのハードワークだったことは事実。今なら完全なるブラック企業ですね月に一度あるかないかの休日、大体一日12時間以上の店舗勤務、本部での勉強会などともかくもみな生き生きと働いた時代。我が国の外食の社会的地位を上げるのだといった意気込みだけで日々を送っていったと記憶しています。

 なにせ30代そこそこの店長がそれぞれの店舗年商2億の管理してるのですから地方に行けばちょっしたおおだなの若旦那みたいなもんですよね、そんな我々が自分より年上の調理師さんやパートのおばちゃんを使っていくんだから肉体を駆使したリーダシップをとるしかないでしょ。

 このころのエピソードは次回に



コンティニュー・・・

 今日の落書き👇
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2025年01月13日

デザイナーの提言

飲食店はメニューが大事・・・全く当たり前の話なんですが単なる味がいいとかという問題ではなく商品の意味訴求といった要点を踏まえつつ料理のレベル・ブラッシュアップを図りましょうという事です。「おいしいのは当たり前」です。今や食品メーカーですらハイレベルクォリティを実現していますから、飲食店に求められる期待値も相当なレベルが要求されるという事です。
 外食産業の黎明期であったとされている1970年代の各店は皆横並びのラインアップ。ハンバーグを中心にした洋食ファミリーレストランの乱立により当時の日本人の外食習慣に変化を与えたのとマーケットの成熟化を推進していったといえます。
 流れからみると洋食系ファミリーレストランに続き和食系のファミリーレストランの台頭によってバラエティ化が進んでいきます。チェーン企業として前者はロイヤル、すかいらーく(後のガスト)、スーパー系ではデニーズ、フォルクス、ビッグボーイ等、後者は関西のさと、藍屋、九州では庄屋などありいずれも何でもそろったバラエティレストランというジャンルになります。
 お酒の飲めるバラエティ居酒屋チェーンも登場してくるのが1980年代のバブル期でした。それまでつぼ八も養老の瀧チェーンが席巻していた市場に、女性が入りやすい居酒屋チェーンが進出。新宿にあった天狗といった大400席を越える大型店が都会に現れてきます。このような経緯はますます市場の成熟化に拍車をかけ、人々の外食に対する目が肥えてきて、要求も高度なものとなって行くのは当然のことです。
 そして原点回帰「メニューの充実」ということで店は専門色を訴求していく事になり結果的に横に広がっていった商品・料理のブラッシュアップのために縦に深耕させていくという方針に転換されていくわけです。
 専門レストランの登場、品種優先の品揃えがテーマとなっていったのです。
なんでもありからこれしかないというマーケティング活動が今後の方向だと考えます。
 本年のデザイナーブログテーマは徹底して「食」にこだわった論評をしていきたいと考えています。

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2025年01月10日

コンセプトの具現化作業

そもそも旅館における商品とは何でしょうか、考えてみたいと思います。それは、総合的に見ていかなければなりません。

 立地・・ロケーション、交通アクセスも商品の一部、便利だとか不便だとかではなく旅館のコンセプトとしてどうかという点を見なければなりません。「ぽつんと一軒家」にワクワクドキドキ感か゛あるがごときです。

当然うたい文句というキャッチコピーは必要でしょうが・・・

 業界では様々なキャッチコピーがあります。

100万ドルの夜景は世界三大夜景の一つに選ばれました・・・とか

1000年から続いているいで湯の里とか・・・満天の星々がまるで降ってくるような何とか高原の一角に・・・とか

 ロケーションを紹介するキャッチコピーはとても重要なことです。

 問題はそのような優位なロケーションに恵まれていない立地環境の場合どうしましょうか、

 それ以外にキャッチコピーを求めなければならないのです。例えばその地域の独特な歴史背景とその歴史に纏わる出来事、生産される特産品とか、農産物などの紹介とそれらの象徴的な造形物など

 また、地域特色を生かした料理や飲み物などの紹介などがあります。

訪れたお客様がどの様な非日常体験を期待感を高めるといったことも考察していきます。他にもたくさんの要素があることでしょう。

 これらの資源をまとめておき情報発信のコンテンツとして常に用意しておくことと発信媒体として手に取ってみる臨場感がある「パンフレット」「旅日記帳」などを用意する方法があります。

 デザイナーとしての私はこれらの媒体の数々をコンセプト表現ツールとして制作しています。


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2025年01月09日

旅館コンセプトの事例

どんな物語を提供するのか、その方針を決めるのがコンセプト。

コンセプトはお客と旅館との接着剤のようなもの。

物理学の法則の中に「波長共鳴の法則」というものがあります。コンセプト表現のためにどんな波長を発信するのかは重要な要素です。表現のためのアプリケーションを展開するには、この施設に関係するすべての人に共有してもらわなければならないという事を知っておきましょう。関係者とは、設計者、施工業者、金融機関、地域の有力者、ビジュアルデザイナー、インテリアデザイナー、もちろん働いてくれる社員、スタッフ、オーナー、管理者 広告制作者広告媒体のコンテンツデザイナー、そしてお客様・・・

 これらの人々によって一つの旅館が存在していると考え、計画しそれを実行しなければなりません。

 冒頭の画像は山林を開発し、切り開いた木々を製材し建物を建築しその山間を整備し、温泉旅館を開発した事例。

 「自然とともに生きている私たち」といった主張をこめて全部で13棟の離れ形式の佇まいを演出した旅館。

 コンセプトは「失われつつある日本の原風景」ということで、素朴感、ときめき感、懐かしい田舎感・・・をふんだんに展開

 敷地には水田在り、畑在り、小川が流れ、夏には蛍が飛び交うそんな空間をお客様に楽しんでもらってる旅館

 私はこんなショップカードのデザインを提供しています。

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2025年01月08日

旅館ブランディングの研究


ブランディングを考察する

サービス業というのは結果的にローカルビジネスであり、自分の目の前でお客様の消費活動のすべてが展開されるという数少ない業種の一つであります。だからこそ自店の特徴、強味や弱みも含めたブランド的なものすべてが繰り広げられるという事を忘れてはいけないのです。

特に旅館・ホテルともなりますと部屋を販売するといった特色があり年間の客室稼働率という数字目標がついて回るのは宿命といっていいでしょう。

昔と異なって団体旅行といったビジネスチャンスは個性化している顧客ニーズが全盛期の現代では衰退してきているのが実情であり、従来の観光客団体客を集客をメインにしている旅館の苦戦が業界内での大きな悩みといっていいでしょう。

 我が国の産業構造の変化を背景にした顧客の変化・・・

 多人数の顧客に対するサービスと小グループに対するサービスの違い

 宿泊サービスを購入する人が一体だれかという意思決定者の変化

 そういったサービス提供方法をどんな媒体で情報発信していくのか・・

これらの課題を一つずつ解決していくのですが、その際に大事なポイントとして「ブランディング」があげられると思うのです。

 従来型の団体受け入れを主としてきた施設にとっては、そのビジネスモデルからドラスティックに変化させていかなければならないので一層の努力が求められていくのです。

 そこでデザイナーである私は、まずコンセプトを明確化する事から始めましょうと語りたいのです。

・・・お客様がどの様な生活体験をこの旅館で送るのかを脚本家として、書いてみましょう。・・・

 これは個客サービスを提供する事業者にとって当然考えておかなければならないことなんです。飲食店も同様、美容室も同様、お客様の心の中に分け入って物語を想像してみましょう。そののちコンセプトの構築といった手順となるのです。

 お客のプロフィール、同伴同行する人との関連性、大体の年齢層、

 昨今の流行トレンドの把握、どんなファッション、どんな持ち物、どんな車種、細かく分類、類推してみます・・・そこから導かれるコンセプトは何か?

 そのコンセプトを表現するためにデザインというものが必要という事になってます。いずれもっと詳しく説明いたします。
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2025年01月07日

デザインと飲食店の関係性

人々がお店を選ぶという行為を促すためには視認性を考えなければならない。当然ですがそのことによって来店されるのがお客様。

店が選ばれるポイントをどう考えどう表現していくのか、どんな主張をもって来店促進にするのか、そのことを考えてみたいと思います。長年このことを考え続けているデザイナーである私は、まず以下のごとき前提を自らに課しています。

 それは、汎用のデザインを使わないという事でどこにでもあるような簡単に出来るようなデザインをまず否定する事、全国チェーンが使うようなタイプ・のデザインも商業エリアにおいて同質化現象を引き起こしている感があるので小規模店にはまず使えません。次にネット上で氾濫している無料の画像、写真なども使えません、簡単アプリのデザインも没、物まねデザインなどは論外にしてもテンプレだけならまだ利用価値としては便利性があります。

 以上の前提からどのように店舗のビジュアル情報を発信するかにかかっているのがデザインという仕事だと思っています。

 ファーストインプレッションの個性化をどう図っていくか、数多い中から自店舗を選んでいただくための仕掛けをどうしようかと考えるわけです。

以前読んだ本「センスの哲学」千葉雅也著 文芸春秋より出版

の中にこんな文章がありました

センスとは一体なんであるかといわれると・・・それは常識的にあるものの中にある一種のトゲのようなものを直観的に情報としてキャッチすること・・

また、連続性のあることから非連続性をもっているリズムに反応することなどと記されていました。

 このことを前述した同質化現象を持っているデザインに当てはめてみるとそれらのデザイン群は「あっ、どこにでもあるデザインの雰囲気だな」といった人々のセンスでとらえるのです。これらを採用している企業・店舗には確かに安心感のようなものはあります。しかし飲食店が本来もっている「わくわく感ドキドキ感、好奇心」みたいな刺激性を感じることは少ないでしょう。

人々が個性化してきているしその客を狙っているお店側がなすことは「違和感」の演出だとデザイナーの私は主張しています。

posted by 筆文字や隆庵 at 10:42| Comment(0) | イラストデザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする